スプリットスクワットの効果と正しいフォームについて|理学療法士が解説

スプリットスクワットになった途端ふらつく、左右で感覚が違うなど、これらは多くの人がぶつかる悩みです。
今回は、スプリットスクワットの効果と正しいやり方、膝が痛いときの注意点、ブルガリアンスクワットとの違いまで、理学療法士の視点から解説します。
スプリットスクワットとは?

スプリットスクワットの基本的な動き
スプリットスクワットは、脚を前後に開いた姿勢のまま体を沈めて立ち上がるトレーニングです。
前脚に体重を乗せ、後ろ脚は支えに使います。ランジと違い足を踏み出さず位置を固定するのが基本のやり方。
自重から取り組めて、ダンベルを持つと負荷が高くなります。
初心者におすすめの理由
スプリットスクワットは片足で行う種目のなかで最も安全に取り組みやすい種目です。
なぜなら、後ろ足の裏が床につき支持基底面が広く、姿勢が安定しやすいため。
ジムでも自宅でも効果を出しやすく、下半身を鍛えたい初心者や、お尻・太ももを引き締めたい女性にもおすすめのトレーニングです。
スプリットスクワットの効果

筋肉への負荷と成長
スプリットスクワットの効果は、片足で支えることで一本の脚あたりの負荷が高まる点にあります。
スプリットスクワットで鍛える筋肉は次のとおりです。
|
部位 |
主な筋肉 |
はたらき |
|
太もも前 |
大腿四頭筋 |
膝を伸ばし体を持ち上げる |
|
お尻 |
大臀筋 |
股関節を伸ばし立ち上がる |
|
お尻の横 |
中臀筋 |
骨盤を横方向に支え安定させる |
注目は中臀筋。両脚のスクワットでは出番が少ないこの筋肉が、片足では安定の主役に。
中臀筋の強化がふらつき軽減の効果につながります。
下半身の強化に最適
スプリットスクワットで大腿四頭筋や大臀筋を鍛える効果は代謝面にも及び、太ももやお尻を引き締める効果も期待できます。
片足で支えるため体幹の安定と筋持久力も鍛えることができ、足が疲れにくくなる効果もあります。
スプリットスクワット最大の効果は「左右差に気づきやすくなる」こと

スプリットスクワットの効果は筋肉を鍛えることだけではありません。
両脚のスクワットでは強い側が弱い側を無意識に代償します。
左右で力の差があってもバーベルは水平に上がり、本人は差に気づけません。
片足ずつ行うスプリットスクワットなら代償が効かず、「右はスムーズなのに左だけふらつく」という形で差が現れます。
つまりスプリットスクワットは、脚を鍛える種目である前に左右差が見えるテストにもなります。
ただし、左右差は誰にでもあります。
利き手・利き脚がある以上、左右がまったく同じ人はいません。
日常生活に支障のない程度の差は珍しくなく、差があること自体が異常ではありません。
大切なのは、差に気づいたうえで弱い側にも丁寧に取り組むことです。
スプリットスクワットでふらつく原因

スプリットスクワットのふらつきは「体幹が弱いから」と語られがちですが、理学療法士の視点では、主に次の2点です。
①中臀筋が働いていない
中臀筋が使えないと骨盤を水平に保てません。支持脚と反対側に骨盤が落ちるエラーは、真正面から見ないと分かりません。
②足裏の3点支持が崩れている
母趾球・小趾球・踵で床をとらえられないと土台が不安定に。外側へ体重が逃げる崩れが上体のふらつきになります。
この2点を意識するだけでスプリットスクワットの安定は変わります。体幹よりまずお尻と足裏を確認してください。
正しいスプリットスクワットのフォーム

正しい姿勢と動作のポイント
スプリットスクワットの正しいやり方を確認しましょう。まずは自重で、鏡の正面に立って行います。
①脚を前後に開く。間隔は沈んだとき前脚の膝が90度になる程度が目安。
②後ろ足は踵を軽く浮かせ、つま先はまっすぐ前へ。左右は線路の幅に開く。
③上体はまっすぐ、前脚の足裏3点で床をとらえる。
④後ろ膝を床に近づけるように真下に沈める。
⑤前脚の足裏全体で床を押して戻る。左右10回ずつ×2〜3セットが目安。
スプリットスクワットは「前に進む」のではなく真下に沈めて真上に戻すイメージ。
骨盤が傾いていないか正面の鏡で確認すると安全です。
上体の角度で効く場所が変わる
スプリットスクワットは上体の角度で効く筋肉が変わります。
重心の位置が変わると、どの関節に負担が乗るかが変わるためです。
|
上体の角度 |
主に効く筋肉 |
|
垂直に立てる |
大腿四頭筋(太もも前) |
|
やや前傾させる |
大臀筋・ハムストリングス |
鍛えたい部位で使い分けると効果的ですが、前傾は股関節から倒すのが原則。腰を丸めるのはNGです。
股関節の動きについてはヒンジ動作の獲得が不可欠です。詳しくはこちらの記事で解説しています。
股関節を正しく使うために:ヒンジ動作の基礎から実践まで詳しく解説
よくある間違いとその修正方法
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よくある間違い |
修正方法 |
|
前後の足幅が狭い |
間隔を広げ膝90度の位置を探す |
|
骨盤が横に落ちる |
正面の鏡で骨盤の高さを確認する |
スプリットスクワットで膝が痛いときの注意点

「膝が前に出るから痛い」は結果であって原因ではありません。
まず修正すべきところは、前後の足幅(ストライド長)の設定です。
間隔が狭いと膝がつま先より前へ流れ負担が集中します。
間隔を広げ膝が90度前後になる位置を探すだけで、膝への負担を減らしやすくなります。
✔︎後ろ足のつま先は前へ
外に開くと骨盤がねじれ、前の膝も内側に入りやすくなります。
✔︎後ろ足の踵は軽く浮かせる
浮かせすぎるとつま先に頼った不安定な姿勢になります。
なお、膝に引っかかる感じや、力が抜けて崩れる感覚がある場合はフォームの問題ではない可能性があります。
無理に続けず医療機関にご相談ください(参考:日本整形外科学会「変形性膝関節症」)。
スプリットスクワットは負荷が高く、膝に負担がかかりやすい種目です。
前段階としてゴブレットスクワットを取り入れることで、スプリットスクワットをより正しいフォームでできるようになります。
ゴブレットスクワットについてはこちらで詳しく解説しています。
ゴブレットスクワットの効果と正しいフォーム|腰・膝が痛い人の安全な下半身トレーニング
スプリットスクワットを安全に行うために

怪我を防ぐための準備運動
スプリットスクワットの前に股関節・足首・お尻を動かすと、怪我の予防に効果的です。
特に、足首が硬いと膝が動かしにくく注意が必要。
厚生労働省も週2〜3日の筋力トレーニングを推奨しています(参考:厚生労働省 健康日本21「筋力トレーニングについて」)。
リハビリでの活用方法
スプリットスクワットはリハビリの現場でも、片足の安定性を強化する目的で用いられます。
自重なら負荷を調整でき段階的に取り組める点も効果的です。
痛みや既往のある方は自己流のやり方を避け、医師や理学療法士の指示のもとで取り組んでください。
スプリットスクワットとスクワットの違い

決定的な違いは左右差が見えるかどうかです。
両脚のスクワットは高重量を扱える反面、強い側の代償で差が隠れます。
スプリットスクワットは片足ずつ負荷がかかり、差が動作に現れます。
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比較項目 |
スクワット(両脚) |
スプリットスクワット |
|
左右差 |
代償が起き隠れる |
動作に現れ気づきやすい |
|
主な狙い |
下半身全体の筋力・筋肥大 |
片足の安定性と左右のバランス |
なお、ランジは足を踏み出す動作が加わる点が違いです。
まず足を固定したスプリットスクワットで安定させてからランジに進むと効果的です。
スプリットスクワットとブルガリアンスクワットの違い

ブルガリアンスクワットは後ろ足を台に乗せる種目。
スプリットスクワットより支持基底面が狭く、後ろ足の股関節が伸展位に入るため前脚に集中して負荷がかかります。
|
比較項目 |
スプリットスクワット |
ブルガリアンスクワット |
|
後ろ足 |
床につける |
台やベンチに乗せる |
|
主な課題 |
左右差の確認と片足の基礎づくり |
前脚への集中負荷と高い安定性 |
重要なのは、ブルガリアンスクワットが上位互換ではなく別の課題を持つ種目という点。
まずスプリットスクワットで左右差を確認し片足の土台をつくり、安定してからブルガリアンスクワットへ
この順番が安全で効果も出やすくなります。
スプリットスクワットでのフォーム改善のヒント
前と上に立つ位置の重要性
スプリットスクワットの安定は「どこに立つか」で決まります。
前後が狭すぎると膝に負担が集中し、広すぎると上体が前に流れます。
左右も一直線だと不安定なため線路の幅に開き、前脚の真上に上体をまっすぐ積み上げると効果的です。
フォームを安定させるためのポイント
-
正面から動画を撮る:骨盤が横に落ちるエラーは正面からしか見えません。
-
弱い側から始める:先に弱い側を行い、その回数に強い側を合わせます。
スプリットスクワットを取り入れたトレーニング計画
初心者向けのプログラム
いきなりダンベルを持たず、自重でスプリットスクワットのフォームを固めます。
|
時期 |
内容 |
ねらい |
|
1〜4週目 |
自重で左右8〜12回×2〜3セット |
動作を覚え左右差を確認 |
|
5週目〜 |
ダンベルで左右8〜10回×3セット |
負荷を上げ筋力を鍛える |
頻度は週2回が目安。中1〜2日空けて回復させると効果が高まります。
効果的に筋を鍛えるためのコツ
同じ回数でも、次の点を守るとスプリットスクワットの効果は変わります。
-
ゆっくり沈む:2〜3秒かけて下ろすと筋肉への効果が高まります。
-
弱い側に1セット足す:左右差が気になるなら弱い側だけ追加する方法も効果的です。
まとめ:スプリットスクワットの効果を最大化しよう
スプリットスクワットは下半身を効率よく鍛える効果に加え、両脚種目では隠れていた左右差に気づきやすくなる種目です。
足幅を広く、足裏3点で床をとらえ、骨盤の高さはまっすぐにする。
この3つでスプリットスクワットの効果は大きく変わり、膝への負担も減らしやすくなります。
効果を実感するには継続が近道です。
自分の左右差、どの程度なら気にすべき?
「気にするレベルなのか」——この判断こそ鏡や動画では最も難しい部分です。
骨盤が落ちているのか、その差が許容範囲なのかは主観では分かりません。
ビーユーの体験レッスンでは、資格を持つパーソナルトレーナーが片足の安定性と左右差を測定・評価も実施可能です。
あなたに合った足幅や上体の角度をお伝えします。スプリットスクワットの効果を最大化したい方は、一度プロのレッスンを受けることをお勧めします。
免責事項(医療情報ガイドラインに準拠)
本記事は一般的な運動に関する解説であり、医師による診断・治療に代わるものではありません。効果には個人差があります。膝や腰に痛み・しびれがある場合は、無理をせず医療機関にご相談ください。
出典・参考(外部リンク)
理学療法士として整形外科クリニックの勤務経験やスポーツ現場での指導経験を活かし、ボディメイク、不調改善を多方面からサポート。モーターコントロール(身体の使い方、動かし方、感覚)を重要と捉え、ただ激しいトレーニングをするのではなく、”自分の身体を理解しながら“トレーニング・ケアを提供する。
【保有資格】理学療法士、JATI-ATI、PHI Pilates MatⅠ/Ⅱ
東京・神奈川・埼玉に展開しているパーソナルジムビーユー。パーソナルトレーナーによるマンツーマンの整体&パーソナルトレーニングで、ボディメイク・ダイエット・姿勢改善・不調改善などのカラダの悩みを根本から改善し、なりたいからだを実現するサポートを行っている。
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