トレーニングを休んだ方がいいのはどんなとき?
トレーニングが習慣化されてくると、休養日を作らずに毎日ジムでトレーニングをする方は少なくありません。
しかし、その結果オーバーワークになってしまい、疲労が抜けなかったり思わぬケガにつながったり、オーバートレーニング症候群になることもあります。
そこで今回は、トレーニングの休養日の入れ方や休むべきタイミング、また休むことのメリットについて詳しく解説していきます。
休養することの一番のメリットに挙げられるのは超回復が得られることです。
超回復とは、トレーニングのような刺激を身体に与えることで一時的に疲労し体力水準は低下しますが、適切な休息をとることによって以前の水準よりも回復する身体の反応のことです。
この超回復によって、私たちは筋肥大や筋力アップをすることが可能になります。
しかし、強度の高いトレーニングを行っても、回復期間が十分でなければ筋肥大や筋力アップの効率が下がってしまいます。
さらに、慢性的な疲労によるパフォーマンスの低下が生じ、オーバートレーニング症候群を引き起こす危険もありますので、トレーニングを行う際は休養も考えた上でスケジュールを組んでいくことが大切です。
一般的には、強度の高いトレーニングは24〜72時間の回復期間が必要とされているため、回復期間を考慮して休養日をスケジューリングすることがポイントです。一週間におけるトレーニングの休養日は少なくとも1日は設けるようにしましょう。
また、身体の強化部位を分割してスケジュールを組むことを「スプリットルーティン法(分割法)」といいます。
この方法を取り入れることで、週6日のトレーニングをしても十分な回復期間を作ることができるため、ほとんどのトレーニーは日ごとに鍛える部位を分けています。
トレーニング頻度別のスケジュール例を下記にご紹介します。
◯週6回のトレーニングの場合
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
肩・胸 | 下半身 | 背中・腕 | 肩・胸 | 下半身 | 背中・腕 | 休養日 |
週6日の場合は部位を3分割に分けてそれぞれ週2日行うことで、中2日の休養を取ることができます。
◯週5回のトレーニングの場合
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
肩・胸 | 下半身 | 背中・腕 | 休養日 | 肩・胸 | 下半身 | 休養日 |
週5日の場合も部位を3分割に分けて、特に強化したい部位を週2回行うことで十分な休養を取ることができます。
◯週4回のトレーニングの場合
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
上半身 | 休養日 | 下半身 | 休養日 | 上半身 | 下半身 | 休養日 |
週4回の場合は上半身と下半身の2分割に分けて、それぞれを週2回行うことで全身効率よくトレーニングすることができます。
◯週3回のトレーニングの場合
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
上半身 | 休養日 | 下半身 | 休養日 | 休養日 | 全身 | 休養日 |
週3回の場合は、全身をトレーニングする日と上半身・下半身メインで行う日に分けることで効率よくトレーニングができます。平日が忙しいサラリーマンはこのようなスケジュールがお勧めです。
◯週2回のトレーニングの場合
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
休養日 | 休養日 | 全身 | 休養日 | 休養日 | 全身 | 休養日 |
週2回の場合は全身のトレーニングを中2〜3日で行います。もし実施中に筋肉痛が回復しない等があれば、上半身と下半身に分けて行うのも良いでしょう。
①トレーニング強度を考慮する
トレーニングの頻度はトレーニング強度にも依存します。強度の高いトレーニングを実施すれば休息も長時間必要になるため、次の実施日まで時間をとらなければいけません。また、上半身と下半身のトレーニングにおいても疲労回復の時間が異なることが報告されており、上半身の筋のほうが早く回復しやすいです。そのため、トレーニング強度に合わせて頻度を決めることで、トレーニングのしすぎ(オーバートレーニング)を防ぐことができます。
②高負荷と低負荷のプログラムを組み合わせる
毎回高負荷のトレーニングを行っていると、回復まで時間がかかりケガなどのリスクも上がりやすくなります。1週間の中で高負荷と低負荷のプログラムを組み合わせることで、効率的なトレーニングをすることが可能になります。身体の状態やトレーニング種目に合わせて、高負荷低回数、低負荷高回数を選択しましょう。
③トレーニング量で計算する
自分が1回でどのくらいのトレーニング量をこなしているのかを把握することは、オーバートレーニングを防ぐうえでとても大切です。1回のトレーニングの中で実施された重量の総量を「トレーニング量」と呼びます。例えば、あるトレーニングを50kgの重量で10回挙上し、3セット実施したとすると50kgx10回x3セット=1500kgとなります。
トレーニング量が多いほど、筋への実質的な負担が大きくなるため、当然ですが疲労が溜まりやすくなります。
各種目だけでなく、1日・1週間のトレーニング量を継続的にモニタリングすることで、より効率的にトレーニングを行うことができます。
トレーニングを休むべき状態は大きく3つあります。
◯オーバートレーニング症候群の兆候がある
オーバートレーニング症候群とは、過度なトレーニングの繰り返しによってパフォーマンスが低下し,容易に回復しなくなった慢性疲労状態のことです。パフォーマンスの低下は簡単には改善されず、回復には数週間から数ヶ月かかることもあります。オーバートレーニング症候群には、交感神経性と副交感神経性の2つのタイプがあり、交感神経性は安静時の交感神経の活動が高まるのに対して、副交感神経性は、安静時・運動時の副交感神経の活動が高まります。多くの場合、交感神経性が先に生じ、最終的には全てのオーバートレーニングが副交感神経性の症候群になります。
オーバートレーニング症候群になると下記のような症状が現れます。
●疲労感
●抑うつ
●モチベーションの低下
●不眠
●食欲不振
●体重減少
●いらいら
●興奮状態
●集中力の低下
●徐脈
●頻脈
●高血圧
●不安感
●寝てもリフレッシュされない
もし、このような症状に当てはまる場合は、オーバートレーニング症候群になっている可能性があります。
現在のトレーニング強度や頻度を見直したり、休養日を意識的に増やすことで身体の状態をモニタリングすることが大切です。
◯急性的なケガ(炎症)があるとき
高強度のトレーニングは関節や筋肉にかかる負担も大きくなるため、当然ケガもしやすくなります。
特に急性的なケガ(受傷した直後〜3日ほど)は炎症反応が出ており、その部位を安静にしないとさらに悪化してしまうおそれがあります。いつもと違う違和感や痛み・しびれがある場合は整形外科の診断を受けることをお勧めします。
※炎症反応は腫れ、熱感、発赤、痛みなどの症状です。
◯過度な筋肉痛が出ているとき
久しぶりにトレーニングを行ったり、高負荷トレーニング実施後に過度な筋肉痛が出ている場合、他の部位のトレーニングを行ったとしても多少の負荷はかかるため、ストレッチや軽めの有酸素運動を行うことで休息期間を設けることをお勧めします。過度な筋肉痛がある方は、後述するアクティブレストを取り入れるようにしましょう。
アクティブレスト(積極的休養)とは、疲労時にあえて軽く身体を動かすことで血流を改善させ、疲労物質を効率的に排出させる休養方法のことです。
休養日に全く動かないよりもあえて軽めの運動を取り入れることで、トレーニングによる疲労を早期に回復させることができます。具体的には、ウォーキングや軽めのジョギング、水中ウォーキングなどの有酸素運動、ストレッチやヨガなどです。
また、普段行わないスポーツを軽めに行うこともリフレッシュになりますので、休養日にうまく取り入れてみてください。
今回はトレーニングの休養日の取り入れ方や休むべきタイミングについて解説をしていきました。
トレーニングが習慣化されるのは非常に良いことですが、やりすぎてしまうことでデメリットもあります。
回復期間は人それぞれ変わるので、是非ご自身の身体に合わせて休養を取るようにしてみてください。
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